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地域後見推進プロジェクト

共同研究
東京大学教育学研究科生涯学習論研究室+地域後見推進センター

トピックス.

修了生代表スピーチ(令和2年度市民後見人養成講座 修了証書授与式)

 修了生代表スピーチ
 桂 賢治 様

 

 皆さん、こんにちは。
 只今ご紹介いただきました桂です。 

 今日、ここで修了生を代表してスピーチさせていただくことは身に余る光栄なことであり、このような機会を与えていただいたことに感謝いたします。ありがとうございました。 

 さて、今回私が本養成講座を受講するきっかけとなったのは、かつて所属していた会社のOB会からの紹介でした。まもなく仕事を離れるということで、自由な時間が増えるがこの時間をどう使っていけば良いのだろう? またこれまで仕事オンリーでなかなか地域と触れ合う機会がなかったので、離職を機に何か地域に対しできることはないか、おこがましい言い方かもしれないが「地域に貢献」できないか? また、呆け防止のために何か学びをしたいのだが・・・等々を考えていて、方向性も出せぬまま昨年3月には仕事を離れてしまいました。ちょうどそのころ本養成講座の紹介がありましたので、「渡りに船」ということで「市民後見」についてざっと調べた結果、「これだ!」と受講を決めました。 

 本講座は、教室受講(これは後にオンライン受講となってしまいますが)、オンライン受講、録画受講の3コースで開催されました。私は、事情があって受講する時間に自由度のある録画受講コースを選択しましたが、実際に受講してみて、リアルタイムに受講された皆様は本当に大変だったのではと推察しておりました。ご苦労様でした。 

 でも、録画受講コースも大変だったのですよ。
 ご存じのように、録画受講コースでは主要7科目の「講義レポート」提出が必須となっています。10月24日、25日に最初に受講した6限講義の中で、いきなり3本のレポートを作成しなければならないということで、どのようなレポートを書けば良いのか勝手が分からないことも有り、なかなか苦労しました。肩に力を入れて講義メモを取る。それを読み直して分からないところはレジュメ集やテキストを調べ直す(時には自分の書いた字が読めないときもあります)。ちゃんと受講したことを示せるレポートにすべく、レジュメに書いていない事を中心に文章構成を考えたり、文章を推敲する。そのような事をやっていると、冬のコタツの中でゼミ論を書いていた学生生活を思い出してしまいました。レポートの出来映えの方は良くわかりませんが、本日修了を迎えたということは、一応及第点はもらえたのかなと思っています。 

 受講の前は、「市民後見人」についてはにわか勉強による漠然としたイメージしかなかったのですが、受講をして行くにつれだんだん明確なイメージが出来上がっていったように思います。特に講師の実体験を交えての講義では、市民後見という事、後見人や被後見人の姿、振る舞いなどを生き生きとした形でイメージすることができました。ありがとうございました。 

 今後どうしていくか。本講座を紹介いただいた、前に所属していた企業のOB会で市民後見の相談会を始めています。まだエントリーはしていないのですが、まずそこで相談・助言していくといったような活動からはじめようと思っています。活動に際しては、今回の養成講座で学んだように、相手の立場に立ち、その人の生活を支えるために何が最善なのか考えながら取り組んで行きたいと思っています。 

 今回の養成講座実施に当たっては、コロナ禍ということで、講師、事務局の皆様にはさぞご苦労されたことと思います。最後に、養成講座の円滑な運営にご尽力いただいた関係者の皆様に心より感謝し、お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 


 修了生代表スピーチ
 小澤 佳代子 様

 

 只今ご紹介いただきました小澤佳代子と申します。
 お役目をいただきましたので、ひとことご挨拶させていただきます。

  私は、1974年中野区職員に採用され、区役所1階の窓口で戸籍の届出を受けつける仕事に就きました。当時、禁治産宣告の審判により後見人に選任された方からの「後見開始届」を受理したことも、かすかですが記憶に残っています。

 30年ほど前でしょうか、私が福祉事務所で老人担当ケースワーカーの仕事をしていた頃は、認知症の高齢者を「痴呆性老人」と呼んでいました。当時私が支援を担当していた高齢世帯の中に、認知症の妻を夫が一人で介護するご夫婦がおいでになりました。ところが、介護者である夫が突然発作で倒れられ、意識障害が長い期間続くという事態に直面しました。このご夫婦を支援するために、区の法律相談を担当されている弁護士の先生に何度も相談して、禁治産宣告・後見人選任の手続きをお願いした時のことは、今も鮮明に記憶しています。

  今から20年ほど前、介護保険制度がスタートする時には、幸運にも「介護保険準備担当」の一員として、介護保険制度導入のための体制づくりを担当することになりました。最初はわずか数名のチームでした。

 介護保険は、「高齢者自身が保険料を納入して、被保険者の権利として必要な時に必要に応じて介護サービスを受けることができる」という画期的な制度であったと思います。
 そして介護保険制度の実効性を担保するために、同じ時期に改正民法が施行され、新しい成年後見制度がスタートしました。
 しかし、その当時の私たちは、「要介護認定」「介護サービスの供給量確保」「介護保険料の算定」など、日々解決すべき課題に追われ、被保険者である区民の権利擁護の視点は決して十分ではなかったと、今思い返しております。

  それから20年が経過し、区を退職した当時の仲間が再び集まって、「公務員生活で培った知識や経験を区民にお返しする組織を作ろう」という相談をはじめました。1年間ほどの試行錯誤を経て、「法人後見を受託できる法人を設立すれば、区を退職する仲間がバトンをつないで、支援を安定的に継続できる」と、目指す組織が具体的に見え始めてきました。

 ちょうどその頃「地域後見推進プロジェクト」の存在を知り、「市民後見人養成講座」を仲間と2人で受講させていただきました。そして、講座修了を機に、法人設立に向けて具体的に動き出すことになりました。ここで、その決意をご披露し、目標の実現に向けて一層の努力をしていきたいと思っています。

  この半年間の講義内容は、いずれも大変有意義なものでした。各分野の第一線で活躍されている専門家の先生からの最新情報や、他を圧倒する実践を展開されている様々な実務者のお話など、とても興味深く、同じ講義動画を何度も繰り返し聴講しました。ご案内によれば、コロナ禍の影響を勘案して、6月まで講義内容の公開を継続してくださるとのこと、嬉しいご褒美を頂けてとても喜んでいます。

  本日ともに修了式を迎えた同期生の皆さま、コロナ禍でオンライン授業が続き、お互いを知ることがなく講座が終わってしまうのがとても残念です。いつか交流し合える時が訪れますよう、心より願うものです。

  最後に、このような厳しい状況の中で、大変なご苦労をいとわず講座を最後まで実施してくださった事務局の皆さまに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 


 修了生代表スピーチ
 高梨 弘子 様

 

 こんにちは。ご紹介いただきました、高梨弘子と申します。千葉県に住んでおります。
 今日、このようにご挨拶させていただけることをとても嬉しく思います。

 まずは、この講座を最後まで導いてくださった、講師の先生方、地域後見推進センター、そして東京大学関係者のみなさまに感謝を申し上げます。
 新型コロナウィルスの影響で、変化変化のなか、迅速かつ丁寧にご対応をいただきました。おかげさまで、全講座を修了することができました。本当にありがとうございました。

 私が市民後見人を知るきっかけは、自分のことがきっかけでした。
 夫婦二人生活ですが、年の差夫婦であり子供がいません。順番からいうと主人を見送ったあと、私はいったいどうすればよいのかしら?という単純な疑問を持っていました。
 インターネットで調べるうちに、市民後見人という制度があることを知り、「習うより慣れろ」の気持ちでいきなり飛び込んだのが、千葉県船橋市にあるNPO法人の「千葉県市民後見人支援センター」でした。

 「見守り」という活動を少しづつお手伝いするなか、見守ることの難しさを痛感していきます。本人の想いはある、だからといってその想いのままでは、守るべき本人の生活がままならなくなる・・・どのようにバランスをとるのか?
 また、いかに自分が何も知らないかを知ることにもなりました。会社員を30年近く続けていると、その組織のなかで経験を重ね、知っていることが増えてくるものですが、この「市民後見人」という新しい環境では、何もかも初めてのことばかりです。言葉も法律も住んでいる行政のサポートもどうなっているかわからない・・・。ならばわかるように勉強するしかないと思い、この市民後見人養成講座の受講を決めました。

 講座のなかで、今後の人口減少や高齢化などの統計がありましたが、私の周りにも子供のいない夫婦やおひとりさまが沢山います。そして皆が今後のことを考え、どんな準備をしていけばよいのか悩んでいます。そういった不安を安心に変えることができる、そのひとつが市民後見人という役割であると、一連の勉強を通して、今強く感じています。

 新型コロナウィルスの影響で、生活様式は変化しました。
 対面で行っていたことが、今までどおりに出来なくなり、あらゆることがスマホやパソコンを使って済まされていきます。便利になる反面、本当にこのままでよいのか?と何か違和感を感じている人は多いのではないでしょうか。
 本来の人と人との関わり、その関わりを通して気づくこと感じること、頂いた温かい思いを今度はまた別の方にお返ししていく、といった、人間本来のコミュニケーションの大切さは今後ますます求められていくと思っています。

 誰もが通る人生という道のなかで「もし私があなたの立場だったら」という思いに立ち、何かひとつでも行動をとることができたなら、生きやすい優しい社会になるのではないでしょうか。市民後見人の役割も同じだと思います。

 本日の式辞で遠藤理事長より「学ぶことはまだまだ沢山あって、制度も変わっていくので日々勉強が大切です」というお話を伺いました。これで終わりではなくこれからだ!と気持ちが引き締まるとともに、実践実行を積み重ねていきたいと思います。
 ひよっこではありますが、小さなことからコツコツと、自分が住んでいる地域足元から始め、ひとりでも市民後見人が増えていくように、自らの体験を通してまだ知らない方に伝えていきたいと思います。

 最後に13期のみなさま。講座修了まことにおめでとうございます。
 少し残念だったことは、コロナ禍により東大キャンパスライフの経験ができず、牧野先生がおっしゃる銀杏の香りもちょっとしか味わえず。同期の交流を図ることができない状況ではありましたが、しかしそのぶん忘れられない13期になったと思います。
 いつか必ず何かの機会にお会いできることを楽しみにしております。

 以上で私のスピーチを終了させていただきます。ありがとうございました。

 

令和3年3月13日(土)
令和2年度市民後見人養成講座
修了証書授与式