1.日本の高齢社会の現状
1. 少子高齢化の進展
現在わが国では、少子高齢化の進展により、65歳以上の高齢者人口がおよそ3400万人となり、総人口に占める割合は約27%にまで高まっています。
今後、人口の減少と高齢化がさらに進むことにより、2060年には人口が約3割減少しておよそ8,700万人になり、高齢化率は約40%にまで高まるとみられています。
2. 認知症高齢者等の増加
この高齢化の進展にともなって、認知症高齢者が大幅に増加してきており、近年、大きな問題となっています。
認知症高齢者の推計人数は、現在600万人に達しているとみられています。加えて、軽度認知障がい(認知症予備軍)の高齢者が約400万人ほどいると推定されます。
さらに、判断能力が不十分な人は認知症高齢者だけに限りません。精神障がい者(認知症の人を除く)が約370万人、知的障がい者が約110万人ほどいるとみられています。
これらをすべて合わせると、判断能力が不十分な人は全国でおよそ1000万人にものぼると推定され、今後もその数はますます増えていくものとみられます。
これらの人々は、判断能力が減退しているがゆえに、財産管理等が困難で、通常の生活を維持することが難しく、悪徳商法等の被害にあうことも少なくありません。
しかし、やはり判断能力が十分でないゆえに、自ら行政等に助けを求めることもできず、福祉の網の目からこぼれ落ち、独り放置されている例もしばしばみられます。
このように、従来のような給付中心の施策だけでは、これらの人々の福祉を保障し、その権利擁護を図っていくことは難しいといえます。
そんな中、近年特に注目されているのが、判断能力が不十分な人を法的に支援する制度である「成年後見制度」の活用です。